- AIの発達で薬剤師の仕事が奪われてしまう!
- 薬の情報が一瞬で分かるなら薬剤師の仕事は必要ないのでは?
- 医療費抑制の時代にAI活用で給料が減る・・・
2024年以降、AIの目覚ましい発展で、「薬剤師の業務が置き換わりそう」と不安が多く聞こえてきます。
実際に、AIが出力する情報量や回答の素早さ、アイデアの豊富さなどは目を見張るものがあります。
しかし、AIは万能ではありません。AIにできないこととして、患者や医師とのコミュニケーション、多職種との連携などの人同士のつながりがあります。また柔軟な対応が必要な場面などは今後も代替できません。
この記事では薬剤師が上手にAIを利用し、より医療に貢献できるようになる使い方や、今後どのように活動していけばよいかが分かります。
「AIは脅威ではなく、使うもの」だと。AIについて正しく学び、不安を取り除きたい方はぜひ最後までお読みください。

薬局で実際に使われているAIで代替できる業務
現在、薬局でもAIが普及し始めています。
DXの推進により、国を上げて業務効率化のためAIを取り入れていく方向に調剤報酬もシフトしている段階です。もちろん、各薬局も業務効率化、働き方改革による残業削減、人件費削減の方向に進んでいます。
現時点でどういったAIが活躍しているかを見てみましょう。
データ解析による処方箋のチェック
処方箋の内容や患者の薬歴データを瞬時に解析し、記載漏れ、用法・用量、飲み合わせや禁忌、相互作用などを正確にチェックし、問題があれば警告してくれます。
これにより、相互作用チェックの見落としや監査ミス、知識不足による過誤を未然に防いでくれます。
ピッキングマシンによる調剤の自動化

AI搭載のピッキングマシンや調剤ロボットがレセコンのデータを基に、ピッキングや一包化、散在の調剤などを行います。レセコンのデータ入力が間違っていなければ、早く正確に調剤します。
今は調剤助手など、薬剤師以外もこの業務をしており、今後速やかに代替されていきます。
画像読み取りによる薬剤監査
薬剤監査も画像を読み取る技術で、GS-1コードを読み取ったり、直接AIが画像を認識したりなど、正しく薬が調剤されているか、監査する技術も進んでいます。
また、一包化監査支援システムは、PTPシートのは数チェックや、錠剤の形、刻印を認識して一包化を監査します。
このように、薬剤監査もAI化が進んでおり、薬剤師業務の時間と負担を軽減しています。
しかし、AIは業務に対して責任を取る事はできません。しっかりと薬剤師が一包化をチェックし、監査業務の責任を取る必要があります。
会話音声認識による薬歴管理
会話音声認識のAIは患者との会話を録音認識し、SOAP形式で薬歴を自動作成します。このAIは、薬剤師業務に関係がない雑談などを認識し、必要な部分だけピックアップしてくれる機能もあります。そのため、そのまま薬歴に転記しても大丈夫です。
服薬指導支援

AIは処方内容や薬歴を分析し、それに合わせた服薬指導内容を提案してくれます。
最近では、薬剤に関する相談に対して強化学習をさせたAI,「LINE」を通じた薬剤師との連携など様々な服薬指導支援システムが開発されています。
薬剤師が力を入れるべき、AIが代替できない業務

調剤・監査・服薬指導、それぞれの業務において協力にバックアップしてくれるAIですが、万能かといわれるとそうではありません。
AIは人の心を推察したり、状況を見て判断できる訳ではないからです。
コミュニケーションだったり、個別に判断が必要な場面だったり、責任問題だったり。
薬剤師が柔軟に対応し、判断を下す必要があります。
対人スキルと信頼関係の構築
AIには患者の苦痛や不安に寄り添うことができません。患者とコミュニケーションをとり、不安や疑問を解決するというような、薬剤師の役目を代替をすることは不可能です。
AIは人間の感情を理解し、共感を示すことができないからです。
今までも薬剤師は患者とコミュニケーションを取ってきました。今後はAIを用いて業務を効率化することでより患者とのコミュニケーションに力を注ぐ必要があります。
個々の臨床判断と複雑な状況への対応提供されない情報の推察
在宅医療や標準化が難しい症例、患者個々の状況や生活環境への対応など、薬剤師の経験や直感が必要な場面があります。
在宅医療ではAIが薬をただ届けるだけになってしまったり、複数疾患を持っている患者はAIが正確な判断をするのは難しいです。患者の個々の対応に関しても、それぞれの性格、嗜好、生活環境によって薬物治療が変わってきて、薬剤師の経験や判断力が必要となります。
薬剤師は、AIにはできない個々の患者への柔軟な対応力、経験、観察力が必要です。
倫理的・法的対応は薬剤師が行う
倫理的な問題や法的な問題は人間の判断が必要です。
AIが生成する情報は誤っている可能性があり、患者に健康被害が出る可能性もあるからです。
AIにはハルシネーションと言われ、間違った情報を集めて出力することがあり、それを薬剤師が検証せず、そのまま患者に説明し、健康被害が出る可能性です。
AIを使う際に、最終的な責任を追うのは薬剤師です。そのため、情報の検証をしっかりと行う能力が必要です。
薬剤師が生き残っていくために必要なスキル4選

AIはとても便利ですが万能ではありません。
現時点でも、これからも、AIに代替できないことは意外と多い。
これから必要になる薬剤師が身につけるべきスキルを4つご紹介します。
対人スキルの向上
患者の不安や疑問に答えるカウンセリング技術、生活状況や症状などをうまく聞き出す質問力・傾聴のスキル、分かりやすく伝える説明力など。さらに突き詰めると、患者との信頼を築く「人間力」が必要と言えます。
マネジメント能力の習得
マネジメント能力とは薬局の運営、人事管理、業務効率化など管理薬剤師が行う業務はAIには難しいと言われており、身に付けると役立ちます。
漫然と業務を行うのではなく、しっかりと計画→実行→評価→改善の繰り返しが重要です。
専門性の深化と資格取得
薬剤師も専門特化の時代と言えます。
厚生労働省でも専門医療機関連携薬局では癌専門薬剤師が必須など、国から薬剤医師に専門性を求められているからです。
代表的な認定資格として
- 研修認定薬剤師
- がん薬物療法認定薬剤師、
- 緩和薬物療法認定薬剤師、
- 糖尿病薬物療法認定薬剤師、
- 腎臓病薬物療法認定薬剤師
他にも多数。
専門性を追求することでその道のスペシャリストとして今後、重要な位置づけとなります。
AI活用スキルの向上
AIツールを使いこなす能力の向上です。
AIは人の指示によって動きます。その指示をプロンプトと言いますが、AIを使いこなすにはプロンプトのスキルが必要だったり、どういった場面にどのAIを使うかなど。また、不具合が起きた時にメンテナンスを行うなどのスキルがある薬剤師は間違いなく重宝されます。
「まとめ」薬剤師は将来的には専門分化されていく、その手助けをするのがAI

薬剤師は現在、医療財政の逼迫、少子高齢化など問題が山積しており、医療と介護の包括といった激動の時代を迎えています。
そのため、多職種連携が必要となり、専門医や介護職員、求められる薬剤師像は多極化・専門分化しています。業務はより複雑化・高度化していくでしょう。
薬剤師は多くの知識の習得をするため時間が必要になってきます。業務を効率化に向けて、AIを活用する選択肢が与えられています。
AIは得意なことと不得意なことが分かれているため、得意なことをAIに任せて、AIが不得意なことを薬剤師が行っていく事が重要です。
AIを恐れるのではなく、フル活用していくことが今後の薬剤師のあり方と言えます。
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